ペリカン M205 デモンストレーター (通称ペリスケ)

     「ペリスケ」という万年筆

 通称「ペリスケ」という万年筆があることは、以前から知っていた。ここ数年、各メーカーが競うようにして軸が透明の万年筆を売り出すたびに、「あぁ、ペリスケの真似か・・・」と思うほど私にとって、スケルトンの万年筆と言えば、ペリカンの初代デモンストレーターだった。

 1990年代に売り出された初代は、数量限定で瞬く間に完売となった。残念ながら、私は初代ペリスケを持っていない。インターネットで見かけると、興味は湧くのだが、あっさりしたスケルトン仕立てのデザインなのに、金色のペン先とその他のパーツが金色トリムであったことに、違和感を覚えた。今考えると、デモンストレーターなのだから、それまでにあったペリカン・スーベレーンの仕組みを見せるために作ったと思えば、至極ごもっともなことで、90年代に世に出したペリカン社の姿勢は天晴れ評価できる。
 今なら金色トリムがレトロな感じで、私の嗜好の範疇に入っており、間違いなく購入している。再び、巡り逢うことがあれば良いのだが・・・。

     復刻版との出逢い

 ある日、何を購入するという当てもなく、万年筆店Pen and messageを訪れた。ショーケースを見ていると、ペリスケがケースの端に置いてあったので、店主の吉宗さんに尋ねると、「ペリカンがまた、スケルトンを出したのですよ。この前のは人気でしたからね。」と、説明してくれた。ペン先は "F" の一本のみが店にあった。早速、ケースから出してもらって試し書きをしてみた。
 外見は、銀色トリムなので、何の衒いもなく、全体的に不協和音も感じることが無かった。ペン先の大きさは、同サイズのM400より大きく存在感がある。何よりも、ペン先が大きく長いのでペンポイントが軸の中心近くにあり、日本語を書くのに適している。スチールなので柔らかさは殆どない。
 ただ、文字を書く時のペン先が紙にあたる感触が心地よく手に伝わってくる。
 一つには、さすがはペリカンの万年筆、ボディーが確り作られているのと、もう一つは、吉宗さんにペン先を滑らかに研いで貰ったためだ。
 長年の想いが晴れた気分で、私はこの万年筆を購入することができた。ちなみに、この復刻版も数量限定だったので今はもう手に入らない。

     インクを入れる楽しみ

パイロット「紺碧」  ピストン吸入式なので、インクを瓶から入れるのも楽しみだ。スケルトンなのでインクタンクにインクが入って行く様子がよく分かる。
 普通のインクでは、せっかくの透明インクタンクがもったいない。色々なインクを入れて試してみたが、やはりブルーが落ち着いている。ブルーにも沢山の色合いがあるので、書いた時の文字の色とインクタンクから見えるインクそのものの色を考え合わせて、パイロットのオリジナルインク、「紺碧」を入れている。
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