Parker Duofold

     歴史ある万年筆  -「パーカー・デュオフォールドー

 パーカーデュオフォールドの歴史は古い。パーカー社がこの万年筆を発売したのは1921年のことだ。以来、同社のフラッグシップとなっている。デュオフォールドとは2倍という意味だが、それまでの万年筆は細身で小型だったのに比して、デュオフォールドは大きさ自体が大きく、インクを溜め込む量も遙かに豊かで、価格も2倍($7)で売り出された。
 第1次世界大戦が終わって、疲弊した心を何かで癒されたいという気持ちの一つが物欲であり、所有欲となって表れた時代のことだった。それまでの黒と金の万年筆の中で、初代モデルは、赤に近いオレンジ色であり、明るい未来への希望の象徴として人々の心を捉えた。

 我が国にとって忘れがたいことは、1945年9月2日、東京湾の戦艦ミズーリ上で、降伏文書の調印式が行われた際、マッカーサー元帥が使用した万年筆だということだ。この万年筆は、マッカーサーが妻からのプレゼントとして持っていたことは、万年筆に興味のある人なら知っている。

 1992年にはブッシュ・エリツィン両大統領が軍縮に向けた合意文書に、1993年には、アラファトPLO議長とイスラエルのラビン首相がオスロ合意(パレスチナ暫定自治協定)に調印した時に、デュオフォールドが用いられた。
 これらのことから、誰ともなく、デュオフォールドを「平和の万年筆」と呼ぶようになった。

     デュオフォールド ブラックGT センテニアル

 私は学生の頃からパーカーの万年筆が好きだった。安価のものでも奇を衒わない万年筆らしい形をしているからだ。初めて買った海外メーカーの万年筆は、パーカーだった。この万年筆は、職に就いて自分で万年筆を買えるようになってからも他の万年筆と同時に長く使っていたが、今は思い出の品としてインクを抜いて保管している。

 数年前、神戸の万年筆店 "Pen and massage" を訪れた時、何本かの万年筆と迷ったあげく、途中で喫茶店に入って考えて、このデュオフォールドを求めることにした。
 新しくモデルチェンジしたばかりで、広告をよく見ていたこともあるが、この万年筆を選び購入した理由は、やはり万年筆としての形であった。見ていて飽きない形だ。特にキャップをして、机の上に置いておくと心が落ち着く。
 発売以来、数え切れないほどの色や模様のモデルを出し続けているデュオフォールドだが、やはり、私には黒と金が一番落ち着く。
 大型のペン先だからBニヴが似合うと思ってBニヴにした。しかし、普段使いにするには太すぎたので、かなりペン先を研いでもらって中字くらいの細さにまでしてもらった。
 とても硬いペン先だが滑らかに書けるので、用途を問わない。

  【ペン先・機構等】

 ■ 18金ソリッドゴールド/ルテニウムプレート装飾仕上げ
 ■ 文字幅:B
 ■ 長さ:約138mm(収納時)/約170mm(筆記時)
 ■ キャップ径:約15.0mmφ 軸径:約13mmφ 重さ:約32g
 ■ カートリッジ/コンバーター両用式
 ■ キャップタイプ
 ■ ボディ/キャップ:アクリライト切削成型仕上げ
 ■ クリップ:ベリリウム合金ベース23金ゴールドプレート