Lamy2000 L01

     - ラミー2000について -

 値の張らない高級万年筆、ドイツが生んだ進取の気性とそれが伝統になることを信じた万年筆、次世代も現役であり続ける万年筆。ラミー2000に冠する言葉は尽きない。そもそも、2000とは西暦2000年を表す言葉だが、この万年筆が発売されたのは、1966年のことで、西暦2000年になっても古さを感じさせないデザインをコンセプトに作られた。
 最も多くのデザイン賞を受賞し、現在のラミー社を築いた代表モデルだ。発売以来、今日までデザインもラミー社唯一のピストン吸入式機構も変わらず、店頭に並んでいる。
 2000年という目論見をはるかに凌駕したのだ。インク窓もボディに溶け込み、機能のみを追求した流線型のデザインを邪魔しない。

     - 機能とデザイン -

 この万年筆は、機能を追求した点でも高く評価できる。大きさは胸ポケットにちょうど収まるよう配慮されている。ボディはポリカーボネイトに極めて細いラインが刻まれているので、グリップが確りしていて飽きない手触りだ。
 クリップは精巧な螺旋バネを組み込んで作られているので、スムーズに動作する。

 私が何より気に入っているのは、この万年筆に「ラミー」というブランドネームが一見では見当たらないデザインについての同社の自信だ。
 よく観察すると、クリップの根元の部分に小さくLAMYと刻印されている。また、クリップの裏、通常は見えない所にGermanyと刻印されている。
 どこまでもストイックな拵えには感心する。
 飾りがほしい人や、欲しい時には、真逆で気に入らないと思う。書くための道具、それ以外の何者でもないと割り切れば、愛おしい。
 私は同じ理由でこのシリーズのシャープペンシルも使っている。
 ただ、この万年筆もペン先だけには個体差があり、一本一本書き味が違う。私はJR京都伊勢丹で、3本を試し書きさせてもらって、この一本と出逢った。この万年筆は一切調整していない。ドイツ職人の頑固さと武骨なまでの伝統へのこだわりに感心しながら使用している。


■ デザイナー:Gerd A. Mullar(ゲルト・アルフレッド・ミュラー)
■ ペン先 : 14金プラチナ仕上げペン先 /  文字幅 : M
■ 機構  : カートリッジ/コンバーター両用式 / キャップタイプ
■ 仕様  : ボディー = ポリカーボネイト / クリップ = ステンレス
■ 長さ  : 約138mm(収納時) /  約/150mm(筆記時)  軸径最大:約13mmφ
■ キャップ径 : 最大:約12.6mmφ (クリップを除く)
■ 重さ  : 約20g