Parker 45 18K

     - パーカー45 -

 パーカー45は、1960年に発売された。それまで、万年筆のインクフィラーは、
吸入式だったが、パーカーが初めてカートリッジ式を発表した。
 「45」という名名前は、当時、弾倉を簡単に差し替えられる拳銃、「コルト・
リボルバー45」が名前を馳せていたので、カートリッジ式機構が似ていることか
ら名付けられた。

 最初はパーカーの廉価版として発売されたが、今日に至るまで沢山のバージョ
ンが世に出されている。ボディの色や素材のバリエーションもさることながら、
ペン先ニブもスチールのものから14金、18金のものもあり、パーカーのロングセ
ラーになっている。

 この万年筆の特徴はカートリッジ式機構だけでなく、ペン先ニブがネジ式で容
易に交換できる点にもある。簡単な拵えの小さなニブなので、初めて外した時に
は、「このニブで大丈夫なのか」と少し不安に思ったが、インクフローの調子に
は全く問題がない。むしろ素晴らしいニブだと思う。
 小さなペン先には何の装飾もないが、形だけで十分な存在感がある。キャップ
には、パーカーのロゴの下に PARKER 45 MADE IN USA と刻印されている。
 ちなみに、現在のパーカーはイギリスに拠点を移したので、MADE IN UK と刻
印されている。

     - 私の四方山話 -

 私がこの万年筆を手に入れたのは40年ほど前のことだ。固定相場で1ドが360円
の時代。高校時代の修学旅行でバスガイドさんが、車のハンドルの値段はいくらで
すか。答えは180円ですと言っていたのを覚えている。そんな時代に私は高校生の
身分でこの万年筆を持っていた。随分親には甘えていたのでだと思う。

 このホームページの私の「プロフィール」にも書いているが、私はこの万年筆の
後に、モンブランを購入し、それから次々と万年筆を買い求めるようになった。

 実は、私が手にした最初の万年筆はパーカーが最初ではない。中学校への入学祝
いにパイロットのキャップレスを親から貰っていた。その時代、そういう万年筆の
風習があった。しかし、そのパイロットを使うことはあまりなかった。専ら鉛筆を
使っていた。手回しの鉛筆削りをくるくる回して鉛筆を削り、だんだん鉛筆が短く
なっていくのが、何か自分だどれだけ勉強したかを示すバロメーターのように思っ
て満足していた。

 高校に上がって少し大人びてきたのか、文字に興味が湧いてきた。お習字で習う
ような綺麗に整った文字ではなく、書き手の癖が私の興味を引いた。そして友人の
書く文字をよく見るようになった。友人の中にひとり、万年筆を使っている者がい
た。ノートの上にモンブランの2桁万年筆で書かれた文字には、上手とは言えない
が如何にも大切に書かれた痕跡が見て取れた。自分も万年筆で書いてみたいと初め
て思った。

 京都丸善に行ってみると、店員さんがいろいろ説明してくれて、高校生の私に相
応しいパーカー45を、「この値段でペン先が18金というのは、お買い得ですよ」と
薦めてくれた。当時は、試し書きをすることも知らず、店員さんの薦めとデザイン
が気に入ったことで、親にねだってこの万年筆を購入したもらった。
 職に就いてからも、小さな文字を多く書く時はこの万年筆を使っている。

     - 経年変化 -

 40年近く使っていると、プラスティックのボディが変化してきた。高校生の時は、
他の鉛筆と一緒に筆箱に入れていたので、キャップより下の部分は擦れて少し色褪
せたようになってしまった。小さな傷が沢山付いたからだと思う。しかし、ボディ
のペン先側の半分は、キャップで守られていたことと、長年使った結果、ぴかぴか
と光っている。また、プラスティックのボディだからか、よく握るペン先側は、上
の写真でもわかるように、傷ついていないが、凸凹ができて購入時のスムーズな形
ではなくなった。
 この経年変化も、よく使った証だと思うとかえって愛おしい。

  【サイズ・機構等】

■  18金ペン先
■  文字幅:M
■  カートリッジ/コンバーター両用式
■  長さ:約137mm(収納時)/約144mm(筆記時)
■  最大胴軸径:約11.2mmφ(クリップを除く)
■  重さ:約13g
■  ボディ:プラスティック
■  キャップ:ステンレススチール、ヘアライン仕上げ
■  クリップ:ゴールドプレート

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