Parker Sonnet Lac Black GT

    - シズレの思い出 -

 パーカーの万年筆は、概してペン先が固い。その点では、このソネットは例外だ。私が初めてソネットと出逢ったのは、随分昔のことだ。まだ、それほど高価な万年筆を買うことができなかった頃のこと、やっと手が届くギリギリの値段でソネットを購った。最初のソネットは、今ではたくさんあるソネットのモデルの中ではフラッグシップになっている「シズレ」だ。パーカーの万年筆は、不覚にも2本失くしている。いや、正確にはまだ家のどこかにあるのかもしれないけれど、見つかっていない。その見つかっていないパーカーの一本がソネット・シズレなのだ。

    - ラックブラック -

 シズレは見つかるかもしれないので、このラックブラックを購入した。数年前、小さくてペン先の柔らかい万年筆を探していた頃、京都伊勢丹に陳列されていたソネットのシリーズが目に留まった。シズレのことはその時は忘れていた。試し書きをしてみると、とても柔らかい。「これがパーカー?」と思うほど意外だった。他のメーカーの万年筆も試してみたが、この柔らかさと価格に魅かれた。ペン先は18金だ。

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    - その堅牢な仕立て -

 気を遣わず少々乱暴に扱っても、堅牢な作りが特徴のパーカーのことだ。ソネットはボディがメタル拵えなので普段使いには、これ以上適した万年筆はない。また、ラックブラックは、手に吸い付くようなフィット感がボディを手にした瞬間から持ち手の書く気をそそる。

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    - 普段使いに -

 ペン先はM(中字)を選んだ。この大きさのボディのMはそれほど太くなくメモなどを取る時にはちょうど良い。また、インクはパーカー社のインクカートリッジをそのまま使うことにしている。色はウォッシャブルブルーが良い。アイデアを書く時は、明るいロイヤルブルーやウォッシャブルブルーを使い、それを清書する必要がある時は、ブルーブラックを使う。これが私の習慣だ。ちなみに、上の写真には旅先で撮ったものがある。私がこの万年筆を常に持ち歩いている証のつもりで撮ってみた。

    - 想いを馳せるノスタルジー -

 ソネットを気に入っている理由は、もう一つある。それは時代に関わらず変わらないボディの形だ。何かビンテージ万年筆を想わせるような昔ながらの形、つまり、如何にも万年筆らしい形をしている。安直な表現だが、このままの形で大きさを大型万年筆にすれば、この2倍以上の値がついても売れるだろう。奇を衒ったイタリア万年筆とは好対照だ。どちらもその時の気分で選んで書くには捨てがたいが、普段使いには、やはり邪魔にならない五月蝿くないシンプルな形が良い。

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■ ペン先  : 18金 
■ サイズ  : M
■ 機構   : カートリッジ ・ コンバーター 両用式
■ 材質   : ボディ> ブラス / トリム> ステンレススチール ゴールドプレート
■ 長さ   : 133mm (収納寺)/ 約146mm(筆記時)
■ 太さ   : 9mmφ
■ 重さ   : 27g

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