Pelikan th.INK Black

    - その設計 -

 ペリカンの新しい万年筆だ。長い歴史を持つペリカーノジュニアは、子供向けにペンや鉛筆を正しく持つ癖をつけるために作られた。筆箱に入れることを想定してクリップはない。そのペリカーノジュニアには、同社の長いインクカートリッジが入る。実は、私はこの長いインクカートリッジを他の万年筆によく使っている。ヨーロッパタイプの万年筆なら使える。
 そのペリカーノジュニアの大人版として売り出されたのが、このシンクだ。「趣味の文具箱vol.24」で紹介されてから、売れ行きは上々らしい。同誌では万年筆入門用として紹介されているが、ペリカーノジュニアと同様、この万年筆も立派に大人が実用として使える。ペン先はスチールだが、滑らかでストレスを感じない。三角形のボディもデザインとして面白い。これも正しくペンが持てるようにというコンセプトらしいが、軸径が程よい太さで、しかも長いのでグリップを強制されない。

 色々な角度で書いてみたが、60度に立てても30度に寝かせてもインクフローは変わらない。長い縦線を書く時に重宝するうえ、ノートの上部に書いていて、そのまま手を移動せずに下部に書くこともできる。しかも線の太さは変わらない。個体差はあるだろうが、私が3本の中から選んだ一本は、ペン先が丸研ぎに近く縦横一定の太さで書くことができる。

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    - 流麗なデザイン -

 何よりもボディのデザインが良い。三角形はオマス360があるが、こちらも書き心地がよい。シンクもそれに劣らず握っていて疲れない設計だ。指で握る部分には滑り止めのグリップが付いている。この部分のラバーがグレーなので、バイカラーのボディになっている。グレーではなく、バイオレットとのバイカラーもある。好みで選ぶことができるが、私はバイオレットは遠慮する。

 ボディで一番気に入っているのは、平坦なクリップだ。平坦なクリップは、アウロラ・アステルもそうだが、趣旨が違う。アステルはあくまでデザイン上のものだが、ペリカン・シンクはクリップの必要性が高くないから平坦に作ったのだと思う。
 クリップに2つのや役割がある。一つ目はその名の通り、ポケットに差すためで、もう一つの役割は机の上に置いたとき、丸いボディだところころと転がるのを防ぐためだ。三角形だと転がる心配はない。従って、2つ目の必要性はない。思うのだが、ペリカンもあくまでデザイン上このクリップをつけたのではないだろうか。実際、このクリップは恐ろしく固い。このクリップで胸ポケットに差そうものなら、生地を痛めそうで差す気にならない。

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    - デスクペンとして -

 総合して考えると、ペン字の練習用のために机の上に置いておくように、または、メモを取る時に使うようにデザインされたのではないだろうか。
 もう一つの特徴は、キャップの外し方だ。キャップは差し込み式だが、普通に外そうとすると一苦労する。説明書にも書いてあるが、このキャップは、クリップと反対側、つまり裏側を指で軽く押すと簡単に外れる。この仕掛けもなかなか面白い。
 私は、このシンクを机上のメモペンとして使おうと思っている。自分宛のメモには明るい色が良い。ペリカンのロイヤルブルーを入れている。

■ ペン先  : ステンレススチール 
■ サイズ  : F
■ 機構   : コンバーター、カートリッジ両用式、 / キャップ 嵌合式
■ 材質   : ボディ> ブラスラッカー仕上げ / トリム> ニッケルパラジウムプレート仕上げ
■ 長さ   : 約141mm(収納時)/ 約131mm(キャップを外した時)
■ 太さ   : 13.5mmφ  / キャップ径:12mmφ
■ 重さ   : 14g

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