ビスコンティ トラベル インクポット

    - 万年筆のT P O -

 仕事でも、旅先でも常に何本かの万年筆を持ち歩く私だが、それは、文字を書く上でのTPOというものを私なりに持っているからだ。
 大人数の会議などで多くの人目に曝される時の万年筆は、真面目に記録を取っているように威圧感のあるペリカンの大きなブラックボディを。少人数の会議でメモを取る時は、あまり威圧感のない普通サイズの万年筆を使う。後者では、主催でない限り、こっそりと書くことを楽しむために色々な万年筆を使う。
 旅先で手紙を書く時は、その地の様子や景色、私が受けた心象風景などが伝わるように万年筆を選ぶ。葉書に書くか、便箋にしたためるのか、どちらが私の想いを伝えるのにふさわしいかを考える時、その葉書なり便箋なりを受け取った相手の顔を思い浮かべる。
 しかし、一つ困ることがある。せっかく今日はこの万年筆だと決めて、書き始めると途中でインクが無くなってしまうことがある。万年筆まわりのことには気を配っているつもりだが、時々、そういう失敗をする。
 かといって、常にインクボトルを持ち歩く訳にはいかない。職場にはインクボトルを置いているが、会議室まで持って行く訳ではない。仕方なく、ペンケースの中の別の万年筆を使うことになる。
 旅先では、たっぷりインクが入っているつもりで持って行った万年筆がインク切れを起こすことがある。多くのことを書いているうちに無くなってしまうこともある。そんな時に役立つのがトラベルインクポットだ。

    - ビスコンティのインクポット -

 私は、インクポットを2つ使っている。その一つが、ビスコンティのトラベルインクポットだ。6、7年前に購入したが、箱もイタリアらしいデザインが気に入っている。インクポット自身のデザインはシンプルだが、飽きさせない気品がある。
 使い方は、インクポットに付属のスポイトでインクを入れて、差し込み式のキャップを閉める。インクポット内部は、ペン先を差し込んだ時にインクが漏れないように円錐の形をしたゴムが張ってある。ペン先を差し込んで、インクポットが上になるようにひっくり返してインクを吸い込む。お医者様が注射器に瓶から薬を吸い込む時の様子を思い浮かべて貰えば、そのとおりである。
 キャップには小憎らしい工夫がある。実際には私は使わないが、キャップの上部がまたキャップになっていて、それを外すとペン先に付いた余分なインクを拭き取るスポンジが現れる。至れり尽くせりだが、これがイタリア職人の遊び心かなとも思う。

 長さは、普通の万年筆より少し短く、太さは大型万年筆より少し太い。
 大きなペンケースにならすっぽり入る。

Visconti Travel Inkpot

Visconti Travel Inkpot

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