





麗容なる筆記具
インクを試す時、重宝するのがガラスペンだ。一番よく使うのは、エルバンのガラスペンだ。他に2本所有している。一本は、贈り物として貰った「北一硝子」の有名な職人さんの作であるもの。そのガラスペン職人さんの名前は残念ながら教えて貰えなかった。もう一本は、先日、私自身が小樽の北一硝子を訪れた時、土産にと買ったものだ。 その時、小樽の店員さんと色々話をしているうちに、ガラスペンは有名な作者のものや色が多く使われているほど価値があり、値段も数千円から数万円までの幅があることを知った。
ガラスペンを使うのは、インクを試す時だけではない。誕生日カードを書くのにボルドーのインクを使いたいと思った時、万年筆にインクを入れずにガラスペンで認める。例えば、そんな時のように、あまり使わないインクで書きたい時にはガラスペンを使う。
ガラスペンで書いた文字には味わいがある。インクの濃淡や線の太さの変化など万年筆では出せない趣や情感が紙の上に沁み込んでいく。私が所有している3本のガラスペンでもそれぞれ書き味や線に違いがある。一本一本手作りなので当然のことだ。

ガラスペンの効用は他にもたくさんあるだろう。京都の某万年筆専門店では、世界中のほぼ全てのインクが取り揃えられていて、試し書きができるという触れ込みだったので、開店して間もなく訪ねてみた。
触れ込み通り、どのインクも試すことはできるのだが、書くために用意されたのがスチールの付けペンだった。私はそれでがっかりした。金属付けペンだとインクがすぐに無くなる。
その点、ガラスペンは最低でも葉書一枚から、優秀なものではA4の用紙一杯に一度インクを浸しただけで書くことができる。水に浸けて洗えば簡単かつ完璧にインクの付いていない元の状態に戻る。

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