Lady Sheaffer 632

    - 「女性用」に作られた万年筆 -

  1970年に発売されたこの万年筆は、女性用に作られたものだ。ボディの柄もたくさんある。女性のために作られたので、装飾性や可愛らしさがかなり意識されている。あまり派手ではないアルミのボディでも、真ん中のリングに凝った装飾が施されている。Ladysheaffer10
1970年代といえば、アメリカで始まったウーマンリブ運動がピークを迎えた時期だ。アメリカのシェーファー社がそれに押されてか、あるいは賛同して作ったのか、知る由もない。しかし、このレディシェーファーは、現在では万年筆を趣味にしている人の間で人気が高い。
 私がこの万年筆を手に入れたのは数年前だが、量産されて比較的に値の張らないシェーファーのビンテージ万年筆のはずが結構の出費になった。現在の市場では、他のモデルよりもこのモデルは高値で取引されているようだ。カートリッジも現在のものが使えるので、まだまだ現役だということなのだろう。

    - 自宅でメモに使う -

 私は、この万年筆を自宅で予定を手帳に書き込むのに使っている。理由の一つは、自宅以外で使うには少し女性らしいセクシーさがあるので格好が気になるという自意識過剰なところにある。もう一つは、格好を気にしないなら、小さな文字を書くのにとても書き心地がとても良いことだ。ペン先は、特殊な「爪形」をしていて小さいが、適度な撓りがあり、例によって反っているので、ガリガリと紙を削る感覚は全くなくすらすらと書ける。もう一つは、私がシェーファーの落ち着いたブルーブラックのカートリッジインクの色が好きだからだ。同じシェーファーのブルーブラックインクでも、他のメーカーの殆どがそうであるように、ボトルインクとカートリッジインクでは色合いが違う。微妙に違うものもあれば、極端に違うメーカーもある。シェーファーはどちらかというと後者の方だ。

    - その小ささに意味あり -

 シェーファー社は昔はどちらかというと、万年筆全体が小型だった。後に記事にしようと思っているシェーファーインペリアルも人気の高い万年筆だが、ペンの大きさは、このレディーシェーファーとほぼ同じだ。男性が使うには少し小さい。この万年筆に収まるようにカートリッジがあるが、このカートリッジに入るインクの量が他社と変わらないほどたっぷり入っている。だから細字万年筆に使うとなかなか無くならない。小さな万年筆でたっぷり書けるというわけだ。何となく、そのあたりも女性好みでもあるような気がする。

■  ペン先 : 14金 爪形ペン先  文字幅 : EF
■  ボディ/キャップ : ブラスベース
■  サイズ/重さ:長さ : 134mm / 145mm  軸径:11mmφ 重さ:20g
■  機構 : カートリッジ / コンバーター(中押し式)両用式 / キャップタイプ
1