Parker 45 18K
最初はパーカーの廉価版として発売されたが、今日に至るまで沢山のバージョ
ンが世に出されている。ボディの色や素材のバリエーションもさることながら、
ペン先ニブもスチールのものから14金、18金のものもあり、パーカーのロングセ
ラーになっている。
この万年筆の特徴はカートリッジ式機構だけでなく、ペン先ニブがネジ式で容
易に交換できる点にもある。簡単な拵えの小さなニブなので、初めて外した時に
は、「このニブで大丈夫なのか」と少し不安に思ったが、インクフローの調子に
は全く問題がない。むしろ素晴らしいニブだと思う。
小さなペン先には何の装飾もないが、形だけで十分な存在感がある。キャップ
には、パーカーのロゴの下に PARKER 45 MADE IN USA と刻印されている。
ちなみに、現在のパーカーはイギリスに拠点を移したので、MADE IN UK と刻
印されている。
実は、私が手にした最初の万年筆はパーカーが最初ではない。中学校への入学祝
いにパイロットのキャップレスを親から貰っていた。その時代、そういう万年筆の
風習があった。しかし、そのパイロットを使うことはあまりなかった。専ら鉛筆を
使っていた。手回しの鉛筆削りをくるくる回して鉛筆を削り、だんだん鉛筆が短く
なっていくのが、何か自分だどれだけ勉強したかを示すバロメーターのように思っ
て満足していた。
高校に上がって少し大人びてきたのか、文字に興味が湧いてきた。お習字で習う
ような綺麗に整った文字ではなく、書き手の癖が私の興味を引いた。そして友人の
書く文字をよく見るようになった。友人の中にひとり、万年筆を使っている者がい
た。ノートの上にモンブランの2桁万年筆で書かれた文字には、上手とは言えない
が如何にも大切に書かれた痕跡が見て取れた。自分も万年筆で書いてみたいと初め
て思った。
京都丸善に行ってみると、店員さんがいろいろ説明してくれて、高校生の私に相
応しいパーカー45を、「この値段でペン先が18金というのは、お買い得ですよ」と
薦めてくれた。当時は、試し書きをすることも知らず、店員さんの薦めとデザイン
が気に入ったことで、親にねだってこの万年筆を購入したもらった。
職に就いてからも、小さな文字を多く書く時はこの万年筆を使っている。
- 経年変化 -
他の鉛筆と一緒に筆箱に入れていたので、キャップより下の部分は擦れて少し色褪
せたようになってしまった。小さな傷が沢山付いたからだと思う。しかし、ボディ
のペン先側の半分は、キャップで守られていたことと、長年使った結果、ぴかぴか
と光っている。また、プラスティックのボディだからか、よく握るペン先側は、上
の写真でもわかるように、傷ついていないが、凸凹ができて購入時のスムーズな形
ではなくなった。
この経年変化も、よく使った証だと思うとかえって愛おしい。
【サイズ・機構等】
■ 18金ペン先
■ 文字幅:M
■ カートリッジ/コンバーター両用式
■ 長さ:約137mm(収納時)/約144mm(筆記時)
■ 最大胴軸径:約11.2mmφ(クリップを除く)
■ 重さ:約13g
■ ボディ:プラスティック
■ キャップ:ステンレススチール、ヘアライン仕上げ
■ クリップ:ゴールドプレート