Aurora Duo Cart

  - I found it on YouTube -

  I've got to know the fountain pen, Aurora Duo Cart, on the Internet, "YouTube" in the winter last year.  The man of the retailer talked very fluently about the Duo Cart in comparison with Parker 51.  I knew the Parker 51 very well because I had used it for years.   He said he was familiar with Aurora's modern offerings, but as a company with nearly 100 years in existence, they had quite a reputation and back catalog to pull from. The Aurora Duo Cart is a prime example of that.
  First manufactured in the 1950's, the Duo Cart was created as a response the world-famous Parker 51 from a design perspective.  It was created to be more portable as one of the early cartridge based pens.   It held two small cartridges in the barrel in special holder, hence the name Duo Cart.

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 樋口一葉の句

「書き交す この玉章(たまずさ)のなかり勢盤(せば)
 何を可(か)今日の命には勢(せ)」

玉章は、手紙や便りの美称です。












  The Duo Cart is only available with a medium steel nib and it writes wonderfully.  I especially love the style of the Duo Cart.  Aside from the flat ends, it is nearly identical to my Parker 51. Uncapped, the Duo Cart has much more of the hooded nib exposed than the 51.  The Duo Cart is an excellent all-around pen.  It's fun, functional, and beautiful. Lamy 2000 has also a hooded nib but writes quite different. I like both, though, the Duo Cart rather makes me excited than Lamy 2000 because of the beautiful two-tone color.

  - 実は、社員への記念品だった -

 私がこのアウロラ・デュオ・カルトを知ったのは、YouTubeで万年筆の動画を見ていた時だった。私は時折、アップルTVで繋いでいるテレビモニターでYouTubeを見る。万年筆の動画を見るのは、私の趣味の一つだと言える。海外の万年筆収集家や万年筆小売店の店員が万年筆を紹介するのを見るのは楽しい。
 このデュオ・カルトは、そもそも、アウロラ社が100周年を迎えるにあたって、社員たちにボーナス代わりに1950年代に販売した当時の部品と箱を使って記念品として作って配付されたものだ。それが評判を呼び、復刻版として一般の人たち向けに発売を開始した。不思議にレトロな感じがしない。現代の万年筆とデザインでは遜色がないと思う。

 この万年筆は、パーカー51とよく比較される。同じようにペン先をフードで隠した万年筆だからだろう。なるほど、パーカー51は世界を席巻したと言っても過言ではないほど超がつく普及品だった。
duocart10.jpg  私もかつて数年に渡って使っていた。購入したのは高校の時だから、45年ほど前のことだ。高校生でも買える値段だった。
 アウロラというメーカーをその時は知らなかった。それから数年経って社会人になると万年筆売り場でアウロラを見かけるようになった。京都丸善の万年筆売り場でのことだ。

 デュオ・カルトに話を戻すと、この万年筆は1950年代では画期的だったカートリッジ式のインク供給構造を持って、世に問われた。軸に2本のカートリッジインクが入るのでデュオ・カルトという名前が付けられたのだ。
 ペン先をフードで隠した万年筆といえば、ラミー2000が今は最も一般に知られていると思う。ラミー2000も書き味では遜色がないどころか、さすがに金ペンだけあって書き心地も良い。黒と銀のシックな色合いのラミー2000はインク吸入式だが、インク窓も洒落た細工で面白い。気分によってラミーを使うか、このアウロラ・デュオ・カルトを使うかを決めるのだが、金色キャップに赤のボディは気分をあげてくれる。

 私はカートリッジインクを使わず、手間のかかるコンバーターを使っている。このコンバーターは復刻版デュオ・カルトに付属品として箱に入れられていたものだ。

 デザインの良さと書き心地、軽さなどからして、これからも長く使える万年筆の一本になると思う。私は、この万年筆を昨年の12月に手に入れた。

 このデュオ・カルトは黒の軸にクロームのキャップと赤軸に金色のキャップの2種類があるが、海外では金色キャップの方は少し値段が張るようだ。日本では、どちらも同じ値段で手に入る。日本でも人気が高かったので、まだあればの話だが。

■ ペン先 : ゴールドプレート /  文字幅 : M
■ 機構  : カートリッジ/コンバーター両用式 / キャップタイプ
■ 仕様  : ボディ=レジン樹脂  キャップ=ゴールド
■ 長さ  : 134mm(収納時) /  約141mm(筆記時)  軸径最大:約12mmφ
■ キャップ径 : 最大:約12.5mmφ (クリップを除く)
■ 重さ  : 約24g
■ 付属品 : コンバーターX 1 & ボトルインクx 1

Aurora alpha Nero Uno

    - 名古屋 三光堂 -

 このアウロラ・アルファが日本で発売されたのは、一昨年、2016年の夏のことだ。趣味の文具箱では秋号で紹介されていた。私がこのアウロアの新作を手に入れたのは、その年、即ち2年前の11月5日のことだった。長い間、このホームページで紹介しなかった、否、ホームページ自体を更新しなかったのには、訳がある。その訳は別に記述する。

一つ一つの万年筆にその名と価格が端正な文字で書かれている。その端正な文字をこの目で見に行こうと思い立っての小旅行だった。
三光堂さんでこの万年筆を購った後、これもまた有名な「ペンランド・カフェ」に立ち寄った。

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さて、話を元に戻す。三光堂さんは、ご夫婦で営まれておられる。ご主人はとても親切で、気になった万年筆を出して欲しいとも言っていないのに、ショーケースから取り出し、「試筆は無料ですから、どんどん試してください」とインクをつけてくれる。試筆用の机は立派なもので、万年筆とインクによく合うものを置かれている。(写真)  ここで、ゆったりと試筆させて貰い、ペン先についても色々と話が盛り上がる。「昔は万年筆なんて一月に数本売れるかどうかだったのが、最近は、ブームなのでしょうが、一日に何本か売れることもあるのですよ。もちろん、若い人たちだからそんなに高価な万年筆ではないのですが、万年筆に興味を持っていただけるで嬉しいです」とお話され、その他の四方山話をしながら客を大切にもてなして退屈させない。





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 また、話は戻るが、ペンランド・カフェの店長さんも良い意味でとても良い人だ。気のおけない態度で、しかも丁寧な接客の仕方で私が持って行った万年筆を見て、その内の一本に素直に感動され、「うわー、1960年代のモンブランだぁ」を何度も連呼されて、本当に万年筆が好きなんだなぁと思った。(ペンランド・カフェにはそれ以上のビンテージ万年筆があるにも拘わらず。)
 ご自分が自慢の万年筆を出して、試させていただいた。これはビンテージ物と言えるのか?今はどこに行っても手に入らない国宝級というのは大げさだが、それほど珍しい万年筆だった。とにかく、店内には新しいものはもちろん、そこに行かなければ見られない、触れない万年筆がたくさんある。万年筆愛好家なら一度は行ってみる価値があることを保証できる。 
  (写真はビンテージ万年筆の棚)

    - アウロラ・アルファ -

 アウロラと言えば、アウロラ・クラシック88(オタントット)やオプイティマのシリーズがフラッグシップと言える。しかし、時々、思い切ったデザインの万年筆を発表する。以前に記事にしたアウロラ・アスティルは、それまでにない思い切ったデザインだ。いかにもデザイン(見かけ)に拘りを持つイタリア人らしい。最近では、特別生産品としてトリノ、バーメイル、ヴェネチア、フィレンツェといった都市シリーズやシガロなどのデザインをデビューさせている。しかし、これはどれもオタントットをベースにした、ずんぐりの葉巻型に煌びやかな装飾を施したものだと思う。私が買ったアルファもずんぐりした葉巻型だ。少し違う点は、ペン先のニブ近くの金属がダイアモンドカット(?)されていて、指が滑らないように工夫が施されている程度の違いがあるだけだ。やはり伝統を重んじているのか、生産ラインのコストパフォーマンスのせいか、形が安定している。金属部分の格子カットは欧米人がアルファベットを書くとき、極めてペン先に近い部分を持つので、それを配慮したものと思われる。軸の後方を持つ私には単なる飾りだ。しかし、その飾りが良いアクセントになっている。 この万年筆には、線の太いBニブ(太字)が相応しいと思ってBニブにすることにした。三光堂にはアズーロ(水色)、ロッソ(赤色)とネロ(グレー)三色あるアルファの全てがあって、それぞれのBニブを試させてもらった。一番良かったのが、あいにくロッソのそれだった。これがネロウーノならなぁと呟くと、簡単に気に入ったペン先と軸(バレル)の組み合わせにしてもらえた。 
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ニブは14金で分厚いので、硬い。しかし、その硬さを補うペン先の滑りの良さとインクフローの良さが十分にある。最近(2018年)発売された復刻版のアウロラ・デュオカルトの方が、同じ14金ニブでも柔らかい「デュオカルト」については、いつか記事にする。5万円以上出して買うのだから長所がなければならない。このアルファの最大の長所は書くとときに気を使わないことと、少し重めの適度な重さが筆記を安定させるところだ。ボールペンでも使っているかのように、気軽に書ける。また、アウロラの高級万年筆にはないカートリッジ・コンバーター両用式であることは、インクの入れ替えに手間が省ける。ペンを育てるということをよく耳にする。私もその意識を持って、万年筆を使うことがあるが、このアルファは最初から育っている。育てる必がない。大人になって生まれ来たような万年筆だ。 
 インクはサービスでもらった「名古屋城セピア」という三光堂オリジナルのものを入れている。このインクは書いてから30分から1時間ほど経つと色味が変わる面白いセピアだ。

■ ペン先 : 14金 /  文字幅 : B
■ 機構  : カートリッジ・コンバーバー両用式
■ 長さ  : 137mm(収納時) /  約165mm(筆記時)  軸径最大:約14.5mmφ
■ 素材  : 樹脂(レジン)/クロームプレイトトリミング /  クリップ:ベリリウム合金(クロームプレイト) 
■ 重さ  : 約35g

AURORA ASTIL No.032

 この万年筆を紹介する記事を見ると枕詞のように「ニューヨーク近代美術館・永久展示保存」という言葉が出てくる。かく言う私も早速こう書いている。1970年代の画期的な万年筆
だったのだろう。

 実は、私はこの万年筆を購入した時、このことを知らなかった。まだインターネットもなく、万年筆を紹介する雑誌などにも興味がなかったので、「近代美術館云々...」ということ
を知る術さえ持っていなかった。今はない京都丸善の万年筆売場で、いつものごとくショー
ケースを見ていると、隅っこの方に他の万年筆とは全く趣きの違う形のこの万年筆が展示さ
れていた。

 30年ほど前の当時、アウロラは海外メーカーとして日本ではマイナーな存在だったのだろう。ともあれ、私はいつもの店員さんに出していただき試し書きをした。

 その時の印象を今も覚えている。まるで、駻馬のようにペン先が勝手に文字を書き出す。
脳からペン先まで神経が直結していて、思ったことが瞬時に紙の上に現れてしまう。否、そ
の時の感覚は、万年筆が意志を持っていて自分が描きたい線を描いているようににさえ思えた。
 シリンダー型で鉛筆くらいの細さと軽さに加えて、特殊なペン先の形状のためかとも思っ
たが、それだけではない何か他の要素があるように思う。

 私はいつも試し書きをする時、自分の名前や住所、好きな言葉など普段よく書く文字を書く。これは昔からの習慣である。「撥ね」や「払い」などの漢字の線の運筆を多く含んでい
るので試し書きに良いとされている「永」の字は書かない。書くのが何故か恥ずかしい。

 少し迷ったが、「このじゃじゃ馬を馴らしてやろう」という、およそ万年筆とは関係のな
い私の悪癖とも言える志向が、この万年筆を購入させた。
 だが、このじゃじゃ馬はなかなか言うことを聞いてくれなかった。思う線が書けるように
なるまで半年以上はかかった。(若い頃は気が長かったのか、熱中する性分だったのか)結
局は、私がペンに馴らされてしまったのかもしれない。

 次の万年筆を購入して以来、暫く眠っていた万年筆だが、複数の日記帳を使うようになっ
てから、記録用ではなく雑感用の方にこの万年筆を使うことを思いついた。不思議なことに、
この万年筆は潜在意識を顕在化してくれる。書き終えて読み返して見るとそのことが、よく
分かる。

 ボディーの形やクリップの仕組みといい、書き味といい不思議な万年筆だ。書き味は決し
て悪くはない、楽しい万年筆だ。

サイズ等:

【ペン先】 14金ロジウムコート・文字幅:M
【サイズ】 長さ136.5mm 155mm (キャップをボディエンドに取り付けた状態) ・軸径 8.5mmφ
【重 さ】  20g
【機 構】 板バネ式コンバーター  /  カートリッジ 両用

Aurora 88 Classic

 4年ほど前に購入した。アウロラの万年筆は、ニューヨーク近代美術館に永久展示保存されている「アスティル」が有名で、それを先に持っていた。この万年筆を買った理由は、私にしてはとても珍しいことだった。ある日、ふとアウロラのホームページを見ていると、とても綺麗な写真があった。何かの記者会見で一人の男性記者がこの万年筆を持った手を挙げて、質問しようとしている風景だった。残念ながら、その画像を今は見ることはできない。印象では、モノトーンの写真の中に、この万年筆だけが金色に光っているような写真だったと思う。それで早速に実物を見てみようと、万年筆店に行った。イタリアの万年筆は、ドイツの万年筆に比べて、同じペン先Mでも線が細いのが一般的だ。
 案の定、ペン先Mのものは細かった。14金で少し硬めの腰。ペン先はBもあったので試してみると、Mの線だった。あのホームページの写真で受けた印象そのままに美しさとバランスの良さ、それに何より、このクラシックな感じが一度に私を魅了した。ニブBを購入した。インクのリザーブタンクなど初代のもから改良はされているが、復刻版とは思えない。普段使いには、ちょうど良い堅さなので、メモを取る時などに使用しているが、期待を裏切らない機能性と飽きない形が良い。

 上のフォトギャラリーは、仕事途中に立ち寄ったコーヒーショップでコンパクトカメラを使って写したもの
 大きさ比較:手帳はアシュフォードのバイブルサイズ
          5枚目の写真右横に写っているのは、ペリカンM1000

追記 【9月3日】

 上に「残念ながら、その画像を今は見ることができない。」と書いた画像を見つけた。
 アウロラのホームページは、イタリアのものばかり見ていたが、自分でリンクを貼りながらあまり見ていなかったアウロラ日本の「歴史紹介ページ」にその画像があった。イタリア語や英語のページでは見当たらない。私が初めて見たのは、アウロラ88の万年筆を紹介するページで、もっと広範囲の風景を写した画像だった。
 下の写真は、それを小さくトリミングしたものだと思う。鮮明さなどの質は落ちているが、確かにこの写真が私を魅了した写真だ。

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【ペン先・機構等】
■ ペン先 : 14金
■ 文字幅 : M
■ サイズ : 長さ157mm 軸径14.5mmφ (キャップをボディエンドに取り付けた状態)
■ 重 さ : 24g
■ 機 構 : リザーブタンク付ピストン吸入式 キャップタイプ