Montblanc Special Edition Heritage Rouge & Noir "Black" Fountain Pen

    - Real Heritage collection -

 Montblanc says concerning this black edition on the web site as below:
  When it was developed in 1906, the 'Rouge et Noir' exclusive fountain pen was considered an outstanding technical achievement, ensuring simple operation without the need for dipping the nib into an inkwell. The Heritage Collection Rouge et Noir celebrates the 110-year-old pioneering spirit of Montblanc. Reinterpreting the legendary writing instrument, it features a longer, slimmer silhouette, modern piston filler technology and craftsmanship refined over generations. The exclusive fountain pen's barrel is made of black precious lacquer combined with black precious resin cap. Snake Clip in vintage look with matching fittings. The clip is made by a stamping and winding process in a special alloy metal, and is aged by a unique galvanic and stripping process.
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 And I say:
  Montblanc's Rouge et Noir pens, part of the Heritage collection, take us back in time to one of their first pens to ever hit the market,110 years ago in 1906! In 1906, pens were still mostly manufactured from ebonite (hard rubber). The current re-issue is divided in three 'tiers', two special editions made from precious resin, and a limited edition in hard rubber.
  Both the black and red version of the Rouge et Noir are completely identical when it comes to the general design, but the small details are what sets them apart. The skinny, not-all-too-long design is typical for vintage pens. The color ways are also based on vintage pens, the black resin version has a coral red cap finial with a slightly off-white Montblanc star emblem embedded in it.
  Both color ways of coral red and black have a very vintage look and feel to them, both because of the overall design, and the materials used. The coral red resin plays a pretty big role in the appearance of the pen, even on the black version.
  The most prominent design feature is of course the snake clip wrapped around the top of the cap. It's a big part of the marketing around this pen, and with reason because it's the first thing you notice about the Rouge et Noir. It's quite a stand-out feature, but definitely in a good way. The metal clip has a weathered appearance (similar to aged silver, yet it's not a silver clip) which is achieved through specialized galvanizing methods (according to the MB website).

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  Vintage pens that are usually not as large as modern ones. In that regard, Montblanc did a good job recreating the vintage design.
 The skinny profile, especially at the section where it's not much thicker than a wood-cased pencil, might put some people off.  Being a special edition pen, I think most people would expect something a bit larger.
  To my surprise, these versions are actually piston fillers. Being so slender and relatively small, I can imagine the ink capacity won't be much to write home about, and there's no ink window to keep track of how much ink is left.
  The Rouge et Noir is by no means heavy, but it definitely feels solid in the hand, despite the smaller size.
  To make up for the size, Montblanc once again delivers with a beautiful nib design. With the grand theme obviously being the snake, the 14k gold nib features a minimalistic depiction of a snake head.
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  Apart from the nib, another feature that shows upon uncapping the pen, is the metal grip section. It has a brushed finish that actually doesn't feel slippery while writing, and the threads are at the front of the section, instead of at the transition from section to barrel, which makes it a rather comfortable pen to hold, despite the lack of girth.
  The design is refreshing, something that stands out from the current selection of modern pens, and with a strong nod to vintage design.

    - ブラック・エディション -

 モンブランのルージュ・エ・ノワールは最初にコーラルカラーを出し次いで、ブラック・エディションを出したようだが、私がモンブランショップを覗いた時(2016年)には、すでに両方がショーウィンドウに並んでいた。クリップの蛇の形が目を引く。次に値段を見て驚く。スペシャルエディションとはいえ、この小さな万年筆がそんなにするのかと誰でも驚くと思う。
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 しかし、ビンテージ好きには、心を動かされる。現代の標準的な万年筆に比べると、昔の万年筆は小さかった。私が持っているものや、知っているビンテージものは、全部、「小ぶり」だ。洋の東西を問わず、昔の万年筆は現代のものと比べると小さいのが標準だった。
 このルージュ・エ・ノワールを見た時に、ある種の郷愁を覚えたのは私だけではないと思う。実は、前にこのホームページで紹介したトロピックブラウンより先に、このブラック・エディションを買っていた。コーラル・エディションを買わなかった理由は前の記事でも書いたが、私の手に合わないだろうと思ったことと、ブラック・エディションと比べて、ペン先が硬かったからだ。硬いと言っても、あくまでブラック・エディションと比べての話だが。
 店頭で手にとってみると、見かけより重い。見かけでは、BICのボールペンと変わらないのではないかと評する海外ユーザーもいるくらいだ。しかし、持ってみると、そうではないことが分かる。ますます、この万年筆に魅了されていく。そして、見かけからは思いもつかない値段を払って自分のものにする。

  I never wanted to weigh more heavily on a man than a bird. - Coco Chanel -
  男の人に小鳥の重さほどの負担もかけたいと思ったことはないわ。(ココ・シャネル)
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 このルージュ・エ・ノワールはピストンフィラーだ。それも魅力の一つで、手間のかかる方が何故か愛着が湧く。ボディとキャップは素材が違うらしいが、見かけでは分からない。スムーズな手触りが、使っていて心地よい。ペン先の金属部分には、指が滑らないような細工がされている。ボディのラッカーと、この金属部分の細工によって、どの部分を指先に当てても気持ち良く書くことができる。

 吸入式だがインク窓がない。持ち運び用には不便だが、定期的にインクの量を見たり、補充したりすることを要求されるのも、スペシャルエディションだからこそ、許されるのかと思わざるを得ないと諦めている。この万年筆にインク窓は似合わない。また、ビンテージ万年筆には、どれもインク窓などなく、万年筆を使うのには、手間がかかるのが当たり前だった。そう思えば、ますますこのビンテージ感に好感が持てる。
 ちなみに、2018年8月現在、国内と海外では異なる色柄のルージュ・エ・ノワール・スパイダー・エディションが売り出されている。

■ ペン先 : 14金  /  文字幅 : M
■ 機構  : ピストン吸入式 / キャップ装着時 160mm  
■ 仕様  : レジン(樹脂) (キャプはしない仕様)
■ 長さ  : 約136.5m(収納時)  約127mm(本体のみ)  軸径最大:約10.5mmφ
■ キャップ径 : 最大:約10.5mmφ (クリップを除く)
■ 重さ  :  約35g 

   Heritage Rouge & Noir Tropic Brown Special Edition

    - As remembrance of "Agatha Christie" Edition -

  I've long been entranced by the Montblanc Agatha Christie Writer's Edition-that serpent clip and nib are so fabulous.  When Montblanc announced the Heritage Rouge et Noir edition, I fell in love immediately. I mean, what's not to love?
  The Montblanc pen in black and a serpent clip and a serpent nib-all for a price significantly less than an Agatha?  The Montblanc Heritage Rouge et Noir is part of a retro series Montblanc embarked on with the Heritage 1912.
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  The Heritage Rouge et Noir series-one in black, one in coral, and one in black ebonite-hearken back to the 1906 safety-pens, though the modern ones are piston fillers.  Taking a cue from the past, the pens have large snowcaps/stars on their finials and a retro-looking serpent clip.  I knew I had to have one.
   Thus, at first I bought the black Rouge et Noir edition, not coral edition. The coral edition has two-tone wonderful nib but for me the color of body is too shinny to hold in my hand and the nib is a little hard because of inlaid gold and palladium coating. In that point, because black edition and brown edition has pure plate nibs, writing touches are both soft that I like.
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  Then one year later (2017), Montblanc announced again the brown edition which has the same serpent clip with red spinals for eyes.  The color of brown makes the pen looking very retro and especially not flashy, I love it.
  The price is the highest of the three editions (coral, black and this brown), though, I think it less expensive comparing with other Montblanc special editions like writer editions such as "Hemingway," "Friedrich von Schiller, and "Edgar Allan Poe."



     - トロピック・ブラウン -

  <モンブラン ヘリテイジ コレクション ルージュ&ノワール スペシャルエディション トロピックブラウン>

 モンブランのヘリテイジコレクションでは、何と言っても「ヘミング」が一番の人気だと思う。事実、新品の状態なら売り出された時の価格の4、5倍の値段で売買されている。ヘミングウェイには強い憧れがあるが、他にも作家シリーズで魅力のあるものがある。フリードリッヒ・シラーやエドガー・アラン・ポーも魅力がある。しかし、ヘミングウェイと同様にレトロ感が漂うアガサ・クリスティーには、とりわけ魅了されていた。
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 作家シリーズで持っているのは、2013年のオノレ・ド・バルザックだけだが、これも気に入っている。バルザック以降、モンブランの作家シリーズは少し手を抜いているように感じる。パトロンシリーズにも良いものがあるが、値段が高すぎる。装飾のために値がはるのは私の好みではない。筆記具として優れているものであれば、装飾は二の次に考える。
 モンブランがアガサクリスティー・エディションを模して、ヘリテイジコレクションのルージュ・エ・ノワールを出すと聞いた時、驚きと共に大いに興味を持った。最初はコーラル(赤軸)しかなく、これは、私の手に合わないと思った。ついで、ブラック・エディションが出た時、これは、アガサの再来かと思うほどに、そっくりだった。ただ、軸の太さが大分違う。しかし、ペン先の作りも良く、ソフトな書き味だったので、これを買うことにした。
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 同じ時に試したが、コーラル・エディションはニブが2色に象嵌されていて、その分、硬く思った。ブラック・エディションはニブが銀色の一色で柔らかい。ブラック・エディションに味を占めた私は、昨年(2017年)の秋に出たブラウン・エディションにも興味を持ち、試し書きするととても柔らかい。ブラック・エディション(後に紹介する予定)のペン先が銀色のものと、ブラウンの金色は、蛇の模様が彫り込まれていて、アクセントはそれだけで良いと思う。

 ちなみに、ブラックは中字を買ったので、ブラウンは細字にした。普段使いにペンケースに入れて持ち歩いている。ただ一つの難点は、インク窓がないので、インク補充を定期的にしなければならないことだが、これもまた楽しみにしている。

■ ペン先 : 14金  /  文字幅 : F
■ 機構  : ピストン吸入式 / キャップ装着時 160mm  
■ 仕様  : レジン(樹脂) (キャプはしない仕様)
■ 長さ  : 約136.5m(収納時)  約127mm(本体のみ)  軸径最大:約10.5mmφ
■ キャップ径 : 最大:約10.5mmφ (クリップを除く)
■ 重さ  :  約35g 

   Montblanc Bohéme Noir

    - 最近のこと -

 モンブランがこのボエムを世に出したのは、かなり前のことだ。私はあまり興味がなかった。万年筆は、ペン先の書き心地が良くて、ボディのバランスが良ければ、それだけで良いと思っていた。ボディの見かけもできれば飽きのこない、見ていて楽しいものが良いと思う程度だった。今でもそうである。
boheme10.JPG  ボディに過度な装飾を付けたものや不要な拵えのために、やたら値段の高い万年筆には少し反感さえ感じていた。最初のボエムが出た頃は、ルビーの装飾がそう思えた。しかし、最近このノワールには惹かれるようになった。
 胸ポケットに差していてあまり嫌味ではない、しかも邪魔にならないサイズが良い。昨年の初め、これを購った。
 ペン先の調整は必要だったので、ペンアンドメッセージの吉宗さんに調整してもらった。何気なく買った万年筆だが、胸ポケットに差しているというのは使用頻度を高める。この約1年間で、ちょっとしたメモ書きや伝言メッセージにこれを使うようになった。最近は、ロイヤルブルーのインクを入れている。

    - その用途に -

 軸の太さや全体の重さも、そのような用途にちょうど良い。人前で少し書くことが必然的に多くなる。モンブランがそれを念頭にこの万年筆を製作した意図にまさしく嵌ってしまった。キャップをネジ式の尻軸にクルクルと回して入れるのは時々面倒に感じるが、メモ書きであれ、伝言であれ、書く前に一息いれて、相手に分かりやすいように書こうという間が生じると思えば、自分で納得できる。ささっと速くメモするときは不向きだが。

boheme11.JPG  手にしてみて、この万年筆の凝りようが分かる。ペン先が繰り出し式でキャップを後ろに差してクルクル回すと出てくる。カートリッジインクを入れる時は、尻軸を少し回して、カートリッジを差し込めば後は勝手にボディに収納される。さすが、モンブランだと思う。スターウォーカーもそうだが、一手間かかるところが良いと思えば良い。不思議なことは、マイスターシュテュックにはその機構がないことだ。長い腰折れを書く時に使うのには、一手間も二手間もかけてよいと思うが、その用途のはずのマイスターシュテュックはキャップをスポンと差し込むだけだ。何か理由があると思うからこれから考えてみようと思う。

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    - これからも -

 1年使ってみて、やっとその良さが分かってきたボエムだ。

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■ ペン先 : ロジウム装飾18金 /  文字幅 : F
■ 機構  : カートリッジ専用
■ 長さ  : 110mm(収納時) /  約135mm(筆記時)
■ 軸径  : 約13mmφ  /  キャップ径 : 約14.4mmφ (クリップを除く)
■ 重さ  : 約25g

Montblanc 221 burgundy GT/K78

    - 2本目はバーガンディに -

 モンブラン221は、このバーガンディより前に黒と金のオーソドックスな1本を既に持っていた。ただ、その万年筆はペン先がEFの細字であるばかりでなく、アルファベットを美しく書くようにペン先を斜めに切ってあるので、日本語を書くには少し不向きであった。
 その後に手にいれた#121は日本語を書くのに適していて、これを専ら使うようになった。今も改まった文書を書くときには黒のインクを入れた#121を使っている。#121については、すでにこの「PENS」の中で随分以前に紹介している。< Open the article : #121 >
 この221シリーズも1970年代の万年筆だ。70年代のモンブラン・クラシック万年筆は名品が多い。それより前の2桁シリーズは収集家には垂涎の逸品が揃っているが、3桁になってからも、キャップを外した時のシャープな見かけとは裏腹に、柔らかな腰を持ったペン先が滑らかに程良く撓って書き心地が良い。

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 上述の黒と金の221EFは、柔らかく滑らかであることに変わりはないが、綴った文字に日本語として妙な癖が出ると40年ほど前の当時は思った。愛用の#121をもう1本とも思ったが、全く同じでは能がない。そこで手に入れたのが、このバーガンディだ。ペン先は14金だが、18金と遜色なく柔らかく撓る。

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    - 落ち着いた色味をカジュアルに -

 バーガンディとワインレッドは違う。英語ではバーガンディ、フランス語ではブルゴーニュ(bourgogne)というが、これはブルゴーニュ産のフランスワインの色に由来している。もう少し赤茶がかったボルドーもその由縁はワインの色だ。赤ワインの微妙な色合いの違いが、それぞれ我が国のJIS慣用色名に記されている。
 「ボルドー」は万年筆好きなら誰でもインクの色を思い浮かべる。落ち着いたワイン色で、女性が日記を書くのに似合う。そんな映画を見た。

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 さて、バーガンディ色のこの万年筆だが、最近は、自分が一番よく使うオリジナルブレンドのブルーブラックを入れてよく使うようになった。線の太さは、お気に入りの#121とほぼ同じなので、当初の目論見のとおり、#121を2本持っているような気がする。このバーガンディは、カジュアルな感じがするので、気の置けない友達に手紙を書いたり、良いことがあった日の日記の記事を記したりとか、気分を明るくしたい時のメモにこの万年筆を使う。

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 ペン先はFだが、この大きさの万年筆ならMと思っても良い。縦横の線が均等の太さに書ける。筆圧の加えようによって、線にアクセントも付けることができる。見本にと思って載せた拙い文字の芭蕉の俳句だが、インクの色が明るく写りすぎてしまっているのはさておき、線の太さとインクの乗りはこの通りだ。
 私がこのモンブラン221バーガンディを使う理由は、何より、使っていて楽しい万年筆だからだ。

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■ ペン先  : 14K / ■ サイズ : F
■ 機構   : コンバーター、カートリッジ両用式、 / キャップ 嵌合式
■ 材質   : ボディ> レジン・プラチナプレート
■ 長さ   : 137mm(収納時)/ 145mm(筆記時)
■ 太さ   : 11mmφ / キャップ 13mmφ
■ 重さ   : 15g

Meisterstück 144

    - 不埒な理由で手にした一本 -

 マイスターシュテュックの末っ子である「144」を手に入れたのは、今から30年ほど前のこと、149や146を手にしてから後のことだった。デパートの万年筆売場に並んでいたモンブランのフラッグシップ、マイスターシュテュックが他の万年筆とは別格のところに陳列されていて、144がその片隅に遠慮がちに小さく佇んでいた。異彩を放って目に飛び込んでくるのは、やはり149であり威風堂々とした姿に他を圧倒する力強さがあった。
 149を2本、146を1本使っていて、すっかりマイスターシュテュックの虜になっていた私は、その当時、あとは144さえ手に入れれば、「揃う」という単純な征服欲だけでこの小さな144を購った。そんな不埒な理由から手にしたものだから買ってから当面は使っていたが、暫くするとあまり手に取ることもなくなった。実際、昔のノートを見てみると太く大きな文字ばかりが並んでいて、この細字の筆跡は見当たらない。ペンケースには入れていたものの最近までは引き出しの奥の方に入れていた。
 細くて華奢な外観が若さゆえの無骨な手には、繊細すぎたのかもしれない。この年齢になって、優しく扱えるようになった気がする。

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    - 何故か廃盤に -

 残念なことに、今この144はモンブランのショーケースから姿を消した。売り出された当時、この万年筆の評判は悪かったと聞いている。その年の万年筆を評価する「ペン・オブ・ザ・イヤー」ではワースト1だったとか。理由はインクフローが悪いとか、ペン軸内でインク漏れするだのことだったらしいが定かではない。後継の145も売り出されたらしいが、今はそれを見ることもない。モンブランが何故廃盤にしたのか、その真意は分からない。しかし、廃盤にしなくても良かったのではないかと今は思う。

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    - 蘇った逸品 -

 最近は細字万年筆をよく使う。太字や中字と同じくらいの頻度で使う場面が増えて来た。ここ数年は、購う万年筆も細字が多い。そんな時、ふと思い出したのがこの144だった。恥ずかしくも「忘れていてごめんね」という思いを抱きながら、古いインクカートリッジを抜いてよく洗浄し、普段使いにすることにした。

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 購入した当時、店員さんがこの万年筆はカートリッジインクしか使えませんと言ったその言葉を信じて今でもカートリッジ式のインクしか入れない。コンバーターも使えるのだろうが、何故か律儀に店員さんの言う通りにしている。
 細身の同軸は小さな文字を書くのに適している。ペン先も柔らかく、何故この万年筆が「悪い評判」だったのか分からない。ただ、私にとって(これは昔からのことだが)モンブランはインクがいただけない。使おうと思い立った日に早速カートリッジインクを買い求めたが、入れてみると案の定、気に入らないブルーブラックだった。名前はミッドナイト・ブルーという小洒落たものに変わっていたが、これがモンブランの目下のブルーブラックだ。事情は省略するが、てんやわんやして見つけたのがカヴェコのカートリッジインクで、これが気に入った。淡いブルーブラックがうるさくなく、手帳を文字で埋め尽くしても綺麗に写る。長年眠っていた万年筆が息を吹き返して、これからは活躍してくれるだろう。

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Starwalker Resin

     モンブラン スターウォーカー

 モンブランがこのシリーズを世に出したのは、そのフォルムから分かるように比較的最近のことだ。と言っても、2003年の発売だから、もうすぐ10年近く前ということになる。
 いつものように京都丸善の万年筆売場をぶらぶらと見に行くと、この極めて現代的な形をした一本が目に留まった。最初は、これがモンブランだとは思わなかったが、マイスターシュテュックと並んで置かれていたので興味を引かれて、ショーケースから出してもらった。

 まず驚いたのはキャップの透明ドームだ。真上から見ると、トレードマークのホワイトスターがはっきりと浮かび上がる。横から見ると、ドームの中に0.1㎜ 程度の線しか見えない。筆記時には見えて、ペンを置くと隠れる。その発想と技術に感心させられた。すぐ後で、この仕掛けは、ディズニーランドあたりで、子ども向けのお土産にありそうだなと思ったが、私は既にその精緻な出来栄えに魅了されていた。伝統を重んじるモンブランが随分思い切ったタイプを作ったものだという感慨もあって、その場で早速試し書きをさせてもらった。細字に黒のインクでの試し書きだった。
 スラスラと専用紙の上をペン先が走る。綺麗な線が書ける。この時点で私は買い求めようと心が傾いていた。いつもは、文字を書くのだが、何故かこの万年筆は、縦と横の線を書きたくさせる。何本も縦線を書いていると、いつもの店員さんが、こう説明してくれた。
「この万年筆は、どのような気温や気圧下でもインクフローが一定でスムーズで滑らかに書けることがウリらしいです。」
 それでスターウォカーという名前なのかと何故か分かったような気がした。その「分かったような気」が、私の買う気を後押しした。分かりやすい客だ。

     - コンバーターを探して -

 最初は付属のカートリッジで黒の文字を書いていたが、使う機会が多くなるほどに自分好みのインクも入れてみたくなった。スターウォーカーは本来カートリッジ専用の万年筆だが、そこは放縦な性格が妥協させなかった。高島屋ならと思い、万年筆売場で無理を言ってみた。
 高島屋の店員さんは、「コンバーターにも色々ありますから」と言って、快く有りっ丈のコンバーターを出して並べて、合う物を探してくださった。何本も差し込んでは試して、とうとう一本のコンバーターを見つけていただいた。
 今もそのコンバーターに、その時々に変わる好みのインクを入れて使っている。

     - これで原稿を書くと -

 原稿を書くのにペン先の調子を気にしなくて書きたい時がある。私にとって、この万年筆の最良の長所は、気にしなくて良いところだ。ペン先は少し硬めなので、力を入れて紙に押しつけても傷める不安が全くない。それでいて、力を抜いても確りインクを出してくれる。
 気が置けない万年筆なのだ。キャップを尻軸に付けるのも、尻軸に切られた2条のネジにキャップを二回しすると、ぴったりとペン先と一直線にクリップが来る。どうやら、「確実」というのが、この万年筆のコンセプトらしい。不確かだが、この万年筆が売り出される直前に、世界で3連リングの指輪だか何だかが流行っていて、世の女性の憧れの的になったことがある。尻軸のキャップ差し込み用ネジ切りトリムが3連になっているのは、このせいのような気がする。
 使うほどに、ペン先を自分好みにしたくて、一度調整してもらった。細字からやや中字に近づいたが、スラスラからヌラヌラに変わって、書き心地にも満足している。

     - 多様なモデルに -

 私が購入した時は、このブラックレジンにプラチナコーティングしかなかったが、今では多様なモデルがある。中でも2006年にモンブラン100周年を記念して販売されたキャップのドームにダイヤモンドのホワイトスターを入れたモデルは今でも人気が高い。宝石で飾り立てた高価な万年筆に興味はないが、スターウォカーのダイヤモンドモデルは、いつか、他に欲しい万年筆がなくなれば・・・と思っている。しかし、果たしてそんな時が来るかどうか。

  【サイズ等】

  ■ ペン先:14K ゴールド ロジウム仕上げ
  ■ 文字幅:F
  ■ 長さ:約140mm(収納時) / 約150mm(筆記時)
  ■ キャップ径:約14.2mmφ 軸径:約12mmφ 重さ:約22g
  

Meisterstück Le Grand

     - プラチナラインとの出逢い -

 モンブラン社の歴史は古い。最初はモンブランという社名ではなかった。一世紀以上の歴史の中で、様々なモデルを世に出してきた。モンブランと言えば、マイスターシュテュックが代表だが、この名前のモデルにも歴史的な変遷がある。今は149がモンブランの代表であり、フラッグシップになっている。

 このプラチナトリムラインを作ったのは10年以上前だが、モンブランの中では比較的新しいこのラインは他のメーカーに先んじていたと思う。それまでは、黒・金が主流で金色以外の装飾といえば、純銀を使ったものだった。

 私が初めてプラチナラインを知ったのは、京都の高島屋である万年筆を購入した時、クレジットカードの明細にサインをしようとすると、男性の店員がさりげなく大きめのボールペンを取り出して手渡してくれた。さすがに、万年筆売場の店員さんだけあって良い物を持っていらっしゃると感心しながらその大きめのボールペンを見ると、たぶん発売されたばかりのモンブランのプラチナラインボールペンだった。
 私も全く同じ型のボールペンを持っていたが、黒・金だったので、クリップやキャップリングや先のトリムが全て白色であることに自分のものと比べて「うるさくない」と感じた。そのボールペンが欲しいとは思わなかったが、プラチナ装飾の万年筆が欲しいと思ったのは、その時のことが契機となったことは確かだ。

     - ポケットに入れる万年筆として -

 書き味や万年筆としての一般的な価値から言えば、私が愛用するペリカンもモンブランも、その中で最も大型のペリカンM1000とモンブラン149が最も高いと思う。(あくまで、余分な装飾や限定品などという付加価値を除いた話だが。)この両メーカーは、それぞれ最大の型の万年筆だけには、そのスタイルに固執しており、別バージョンを作らない。モンブラン149にプラチナラインはない。
 しかし、これも両メーカーに共通していることだが、二番目の大きさのモデルには別バージョンを色々と出している。と言っても、モンブランの方がやや頑固で、プラチナラインがあることと、ボールペンとシャープペンシルを出しているだけだ。

 話は変わって前に遡るが、普段、身につけるものは、「うるさくない」ものが良いと思っている。それが私の主義だ。時計なら、ロレックスよりオメガが良い。この万年筆を胸ポケットに入れる前までは、パーカーのフライター・クロームキャップにステンレスのペン先を使っていた。数千円の廉価なものだが、これが一番良いと思っていた。10年近く前にモンブランP146 を手に入れてからは、これがパーカーに取って代わった。

      - 多様なシーンの中で -

 普段身につけていて使う万年筆として、パーカーの唯一の欠点は、インク残量を見るのに、クルクルとボディーを外して中のカートリッジをチェックしなければならないことだ。しかし、パーカーのカートリッジは、そんなことは見越してか、カートリッジ自体にリザーブタンクの仕掛けがある。インクが出なくなっても、クルクルとボディーを外して、カートリッジをピンピンと指で弾くと、リザーブインクが降りてきて100文字から200文字は書ける。何度か、その指でピンピンをした経験がある。

 146はその点、ピストン吸入式でインク窓から残量が見える。時々上に向けて残量を確かめる。カートリッジと違って、インクを吸入するときは、手が汚れたり、インクの吸入自体が面倒だったり、手間がかかる。
 万年筆の魅力は、便利軽便なことと手間がかかるという、どこか相反する作用のアンビバレンスにある。
 146の用途もそうだ。普段にクシャクシャっとメモ書きするのにも使える反面、改まった場面でやおら取り出してサインする時にも様になる。原稿用紙に書くときも、手紙をしたためる時にも使える。
 私は指でピンピンとすることが無くなって以来、この万年筆を常にスーツの内ポケットに入れている。スーツを仕立てる時は、通常の内ポケットとは別に、万年筆を差し込む用のポケットを少し広めに作ってもらう。

【ペン先・機構等】

■ ペン先 : 14金プラチナ装飾ペン先 文字幅 M
■ 機 構 : ピストン吸入式
■ サイズ/重さ : 長さ:約146mm (収納時)/ 約156mm (筆記時) /  最大胴軸径:約13.3mmφ
            キャップ径:約15.4mmφ(クリップを除く)
■ 重さ:約26g

  Montblanc 121  nib : M

 1960年代~1970年代の万年筆。私がこの万年筆は購入したのは、1970年代の初め頃だった。40年は使っていることになる。未だに使っている。長い間眠っていた万年筆だったが、手帳を使い始めた10年ほど前から、「この手帳にはどんな万年筆が合うだろうか」と考えた時に真っ先に思い浮かんだのがこの万年筆だった。ペン先やインクの洗浄を丁寧に行うと、購入した当時、よく使っていた頃の書き味は全く変わっていなかった。使い込んだ万年筆は、皆そうだと思うが、少々の年月放っておいても手入れさえすれば、変わらぬ書き味を再現してくれる。つい最近、ペン軸の首の部分がひび割れたので修理に出したところ、一週間ほどで戻ってきた。気に入っていた黄色のインク窓はグレーに変わっていたが。また、現役で使っている。

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 キャップの山の形をしたリングも気に入ってる。ペン先は、M。ペン先には、18金を表す750としか刻印がないので、見かけでは分からないが、購入した当時、「中字が欲しい」と求めたことを覚えている。残念ながら、この万年筆に関する資料は手元には何もない。
 インターネットで調べて、#121だろうと勝手に思っている。名前や番号はどうでもいいと、この万年筆に関しては思っている。自分の中で、何とも愛おしい存在であるから。敢えて言うなら、「我が青春のモンブラン」というところか。

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Meisterstück 149 14c 

 初めて購入したマイスターシュテュック。それ以前にジェネレーションを数本持っていた
が、149 を自分で買えるようになって早速行動に移した。購入したのは京都丸善。初めて手
にして、ノートに書いてみると、その書き味にまるで作家にでもなったような気分だった。

 数年前、雑誌で読んだ記事に、開高健が「万年筆は自分の指と化すまで云々」というのが
あって、その記事に載っていたのが、私の持っている14金ペン先の万年筆だと知った。

 先日、モンブランブティックに用件があって行ってみると、たまたまモンブラン万年筆だ
けを調整するという人がおられて(雑誌にその人の名前が載っていたが失念した)、私のこ
の万年筆は、モンブランが限られた期間にだけ出したもので非常に珍しいものをお持ちです
ねと言われた。

 開高健が使っていたことから、開高健モデルとか呼ばれているらしいが、その調整師曰く、「たまたま開高健さんが使っていただけで、モンブランが彼のために作ったものではありま
せん」、だから、「開高健モデルと呼ぶのはどうか...」ということだった。

 この万年筆はペン先を2度修理に出している。1度目はどうもペン先が浮くような書き味
感がしたので、1ミリだけ中心に寄せてもらった。それでまるで違う書き味になり、日本語
が日本語らしく書けるようになった。2度目は、このペンを真っ逆さまに落として、ペン先
が90度曲がってしまった時だ。二度と元に戻ることはあるまいとショックを長い時間抱え
て、すがる思いで、京都丸善に修理を頼んだ。出来上がりは、直角に曲がっていたことなど
微塵にも分からない完璧な修理だった。1ミリ中心に向けてペン先を真ん中に寄せる作業も
してもらっていた。この2度の調整と修理は全て無料だった。

Meisterstück 149 18C 

 モンブラン・マイスターシュテュック 149

 私は、149をすでに一本持っていた。しかし、職場で上司が同じ149を使われていて
よく見ると、ペン先が違った。その上司には特に懇意にしていただいて色々なことを教わっ
た。上司の149のペン先は、全て金色で大きさは、まるで「伸し烏賊」のように大きかっ
た。

 大きなノートにいかにも気持ち良さそうにペン先が滑って行くのを見て、自分の149と
見比べると全く違うように見えた。私はその18金のペン先の149が欲しくなって、行き
つけの丸善に行った。
 その当時、京都で筆記具と言えば、丸善であって、私はすでに数本の万年筆を丸善で買っ
ていたので、あるいは探してもらえるかもしれないと思ったのである。

 丸善の店員さんは、私の説明を聞き快く探すことを承諾してくれた。
そして約半年後、丸善から連絡があり、逸る心を抑えきれずに丸善に出かけた。

 ようやく一本だけ見つかりました。」と店員さんが言う。
 「どこでですか。」
 「東京の紀伊國屋さんに一本だけありました。」
 それじゃー、商売敵から仕入れていただいたのか・・・。

 感慨無料の思いで、箱を開けると、上司のよりは少し小ぶりだが、確かに18金のペン先
の149だった。

 以来、前の149と使い分けながら、今日まで私の一番であり続けている。