Meisterstück Le Grand
- プラチナラインとの出逢い -
このプラチナトリムラインを作ったのは10年以上前だが、モンブランの中では比較的新しいこのラインは他のメーカーに先んじていたと思う。それまでは、黒・金が主流で金色以外の装飾といえば、純銀を使ったものだった。
私が初めてプラチナラインを知ったのは、京都の高島屋である万年筆を購入した時、クレジットカードの明細にサインをしようとすると、男性の店員がさりげなく大きめのボールペンを取り出して手渡してくれた。さすがに、万年筆売場の店員さんだけあって良い物を持っていらっしゃると感心しながらその大きめのボールペンを見ると、たぶん発売されたばかりのモンブランのプラチナラインボールペンだった。
私も全く同じ型のボールペンを持っていたが、黒・金だったので、クリップやキャップリングや先のトリムが全て白色であることに自分のものと比べて「うるさくない」と感じた。そのボールペンが欲しいとは思わなかったが、プラチナ装飾の万年筆が欲しいと思ったのは、その時のことが契機となったことは確かだ。
- ポケットに入れる万年筆として -
書き味や万年筆としての一般的な価値から言えば、私が愛用するペリカンもモンブランも、その中で最も大型のペリカンM1000とモンブラン149が最も高いと思う。(あくまで、余分な装飾や限定品などという付加価値を除いた話だが。)この両メーカーは、それぞれ最大の型の万年筆だけには、そのスタイルに固執しており、別バージョンを作らない。モンブラン149にプラチナラインはない。
しかし、これも両メーカーに共通していることだが、二番目の大きさのモデルには別バージョンを色々と出している。と言っても、モンブランの方がやや頑固で、プラチナラインがあることと、ボールペンとシャープペンシルを出しているだけだ。
話は変わって前に遡るが、普段、身につけるものは、「うるさくない」ものが良いと思っている。それが私の主義だ。時計なら、ロレックスよりオメガが良い。この万年筆を胸ポケットに入れる前までは、パーカーのフライター・クロームキャップにステンレスのペン先を使っていた。数千円の廉価なものだが、これが一番良いと思っていた。10年近く前にモンブランP146 を手に入れてからは、これがパーカーに取って代わった。
- 多様なシーンの中で -
146はその点、ピストン吸入式でインク窓から残量が見える。時々上に向けて残量を確かめる。カートリッジと違って、インクを吸入するときは、手が汚れたり、インクの吸入自体が面倒だったり、手間がかかる。
万年筆の魅力は、便利軽便なことと手間がかかるという、どこか相反する作用のアンビバレンスにある。
146の用途もそうだ。普段にクシャクシャっとメモ書きするのにも使える反面、改まった場面でやおら取り出してサインする時にも様になる。原稿用紙に書くときも、手紙をしたためる時にも使える。
私は指でピンピンとすることが無くなって以来、この万年筆を常にスーツの内ポケットに入れている。スーツを仕立てる時は、通常の内ポケットとは別に、万年筆を差し込む用のポケットを少し広めに作ってもらう。
【ペン先・機構等】
■ ペン先 : 14金プラチナ装飾ペン先 文字幅 M
■ 機 構 : ピストン吸入式
■ サイズ/重さ : 長さ:約146mm (収納時)/ 約156mm (筆記時) / 最大胴軸径:約13.3mmφ
キャップ径:約15.4mmφ(クリップを除く)
■ 重さ:約26g
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