Maruzen Omoto Fountain Pen

    - Vintage Omoto Ink Stop Type Fountain Pen  丸善製オノト万年筆-

   In 1907, Maruzen, one of the most famous books and stationary store in Japan, became a sales agency of De La Rue plc, the England company in Japan. The Maruzen company began to import De La Rue's fountain pen line of products of which De La Rue plc had a great pride. They were still now famous "Onoto" fountain pens.
  Onoto fountain pens had an established reputation that they had well ink flow and easy to write. The world famous writer, Soseki Natsume loved the Omoto fountain pen and used it when he wrote manuscripts of his works.

  My master of Japanese calligraphy wrote this for me. It's framed and on the wall. - 森与兵衛 - 書 ONOTO14.jpg

 You can find that he wrote about his fountain pen in the work, " I and Fountain pen." He wrote how fine and beautifully easy to write the pen was.

   One day in late 1980's, my master of a famous Japanese calligraphy, Mr.Yohei Mori took me to the Maruzen to see the fountain pens exhibition together held there. Coincidently, my master and i both were held spellbound at the Omoto fountain pens because of their retro moods, shapes, and the prices. My master bought the thicker one and I bought a little slim one. Since then, the both of us used almost the same shape of Omoto fountain pens.

 Since I got this pen, I've been using it but there is no malfunction nor only a little crash. I"ll like it all along in my life.

    - インク止め式 -

  収納時は尻軸のネジを締めおく。(写真上)使用時はネジを緩める。(写真下) ONOTO11.jpg

ONOTO12.jpg  明治40年(1907年)、丸善はイギリスのデ・ラ・ルー社の日本代理店となり、デ・ラ・ルー社の誇る万年筆の逸品「オノト万年筆」を輸入・販売を始めた。オノト万年筆は書きやすさと、インクの出具合の良さに定評があり、夏目漱石や北原白秋などの明治・大正の文豪に愛用された。漱石の随筆、「余と万年筆」にオノト万年筆の記述があり、その良さに触れている。

 1980年の終わり頃、私の書の師匠、森与兵衛先生が丸善で万年筆展をやっているので一緒に行こうと言われて、二人で行った。偶然だが、数多くあった万年筆の中から、私と先生は同じ万年筆に魅了された。他の万年筆は何があったのか、今は全く覚えていない。昔の拵えのままで、何の飾りもない、この万年筆に二人ともが惹かれたのは、趣向が同じだったからだろうか。先生は少し太めのを、私は少し細めのを買った。

 インク止め式の面倒な万年筆だが、手のかかる方がかえって面白いこともある。使ってみれば、インクの出具合は良く、ペン先は極めて柔らかく、エボナイトの持ち味、軽さといい、申し分のない逸品だ。もう30年くらい前から、師匠と一緒に同じ万年筆を使っている。故障もしないし、傷一つない。この万年筆こそ、一生物と呼ぶに相応しい逸品だ。


  与謝野晶子の歌  「冬の夜も うすくれなゐの紙のはし 散れる灯かげは心ときめく」
onoto10.jpg
onoto13.jpg

■ ペン先 : 14金 /  文字幅 : 中字
■ 機構  : インク止め式・アイドラッパー補充式 / キャップタイプ : ネジ式
■ 仕様  : ボディ・キャップ・ピストン部、全エボナイト製
■ 長さ  : 140mm(収納時) /  約172mm(筆記時)  軸径:約10mmφ
■ キャップ径 :約10mmφ 
■ 重さ  : 約16g

Maruzen Stream Line Onoto Model

    - 丸善の万年筆 -

 丸善は明治時代に海外の万年筆を日本に紹介した。ペリカンやウォーターマンなどを輸入し販売したのだ。デ・ラ・ルー社のオノト万年筆は夏目漱石が他の文筆者に先駆けて恐る恐る使い始め、多くの原稿を執筆したことで漱石愛用の万年筆として有名だ。丸善自身も自社製の万年筆とインク「アテナ」を発売し人気を博したものである。
atena-in01.jpg  これまでに丸善は独自の万年筆を何本も売り出してきたが、どれも販売期間が非常に短く、売り出されればすぐに買い求めなければ、いつ販売を終了するか分かったものではない。限定万年筆は文字どおり100本だけの販売とかになるので、所有する人は少ないのが特徴だ。数年前に漱石が使用した万年筆を再現し売り出されたが、実際に手に取ってみると素晴らしいバランスと握り心地だった。これも限定品で、確か一本100万円以上だったと覚えている。

    - ストリームライン -

streamline10.jpg  そんな丸善が平成6年に久々にオノト型の万年筆を復活させ販売した。ストリームライン・オノトモデルだ。京都丸善が店仕舞をして寂しく思っていた私が、ある時、岡山に出かけることがあって、その地にあった丸善で購ったのがこのストリームラインだった。比較的に廉価で旅先の持ち合わせで足りるものだったので、「えい!」とばかりに購入した。このストリームラインも残念なことに今では販売していない。そういう意味では、岡山での「えい!」は正しかったのかと思っている。
pscript-atena01.jpg

アテナインクで書いてみた。実際にはもっと濃い茶色なのだが。







    - その拵え -

 さて、この万年筆は賛否両論がある。褒める人と貶す人、それぞれの言い分があり、もっともだと思うが、私は使い勝手の善し悪しは個人差があるので全く気にしない。少なくとも私にとっては良い万年筆の一本に違いない。
 ペン先には漱石の原稿用紙にもあしらわれていた龍の刻印(本文中の写真2)がある。クリップには丸善のオリジナルの証である方位磁石の刻印もある。そういった装飾に文化の匂いを感じるのも、私がこの万年筆を気に入っている理由の一つだ。
 キャップを尻軸に嵌めると、万年筆の中でも長い方だ。モンブランの149あたりの全長でだろうか。もう一つの特徴は随分軽いことだ。筒型で軽いのでペンを回すのにうってつけの構造だ。コンバーターも大きく、たっぷりインクを含ませることができ、長文を書く時に安心できる。ペン先は14金だがよく撓って柔らかい。
 ともかく、私のコレクションの中で数少ない国産製では屈指の万年筆である。

■ ペン先  : 14K / ■ サイズ : M
■ 機構   : コンバーター、カートリッジ両用式、 / キャップ ネジ式
■ 材質   : ボディ> AS樹脂
■ 長さ   : 142.7mm(収納時)/ 175mm(筆記時)
■ 太さ   : 13.1mmφ / キャップ 14.2mmφ
■ 重さ   : 23g