Meisterstück 149 18C 

 モンブラン・マイスターシュテュック 149

 私は、149をすでに一本持っていた。しかし、職場で上司が同じ149を使われていて
よく見ると、ペン先が違った。その上司には特に懇意にしていただいて色々なことを教わっ
た。上司の149のペン先は、全て金色で大きさは、まるで「伸し烏賊」のように大きかっ
た。

 大きなノートにいかにも気持ち良さそうにペン先が滑って行くのを見て、自分の149と
見比べると全く違うように見えた。私はその18金のペン先の149が欲しくなって、行き
つけの丸善に行った。
 その当時、京都で筆記具と言えば、丸善であって、私はすでに数本の万年筆を丸善で買っ
ていたので、あるいは探してもらえるかもしれないと思ったのである。

 丸善の店員さんは、私の説明を聞き快く探すことを承諾してくれた。
そして約半年後、丸善から連絡があり、逸る心を抑えきれずに丸善に出かけた。

 ようやく一本だけ見つかりました。」と店員さんが言う。
 「どこでですか。」
 「東京の紀伊國屋さんに一本だけありました。」
 それじゃー、商売敵から仕入れていただいたのか・・・。

 感慨無料の思いで、箱を開けると、上司のよりは少し小ぶりだが、確かに18金のペン先
の149だった。

 以来、前の149と使い分けながら、今日まで私の一番であり続けている。

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