Maruzen Stream Line Onoto Model

    - 丸善の万年筆 -

 丸善は明治時代に海外の万年筆を日本に紹介した。ペリカンやウォーターマンなどを輸入し販売したのだ。デ・ラ・ルー社のオノト万年筆は夏目漱石が他の文筆者に先駆けて恐る恐る使い始め、多くの原稿を執筆したことで漱石愛用の万年筆として有名だ。丸善自身も自社製の万年筆とインク「アテナ」を発売し人気を博したものである。
atena-in01.jpg  これまでに丸善は独自の万年筆を何本も売り出してきたが、どれも販売期間が非常に短く、売り出されればすぐに買い求めなければ、いつ販売を終了するか分かったものではない。限定万年筆は文字どおり100本だけの販売とかになるので、所有する人は少ないのが特徴だ。数年前に漱石が使用した万年筆を再現し売り出されたが、実際に手に取ってみると素晴らしいバランスと握り心地だった。これも限定品で、確か一本100万円以上だったと覚えている。

    - ストリームライン -

streamline10.jpg  そんな丸善が平成6年に久々にオノト型の万年筆を復活させ販売した。ストリームライン・オノトモデルだ。京都丸善が店仕舞をして寂しく思っていた私が、ある時、岡山に出かけることがあって、その地にあった丸善で購ったのがこのストリームラインだった。比較的に廉価で旅先の持ち合わせで足りるものだったので、「えい!」とばかりに購入した。このストリームラインも残念なことに今では販売していない。そういう意味では、岡山での「えい!」は正しかったのかと思っている。
pscript-atena01.jpg

アテナインクで書いてみた。実際にはもっと濃い茶色なのだが。







    - その拵え -

 さて、この万年筆は賛否両論がある。褒める人と貶す人、それぞれの言い分があり、もっともだと思うが、私は使い勝手の善し悪しは個人差があるので全く気にしない。少なくとも私にとっては良い万年筆の一本に違いない。
 ペン先には漱石の原稿用紙にもあしらわれていた龍の刻印(本文中の写真2)がある。クリップには丸善のオリジナルの証である方位磁石の刻印もある。そういった装飾に文化の匂いを感じるのも、私がこの万年筆を気に入っている理由の一つだ。
 キャップを尻軸に嵌めると、万年筆の中でも長い方だ。モンブランの149あたりの全長でだろうか。もう一つの特徴は随分軽いことだ。筒型で軽いのでペンを回すのにうってつけの構造だ。コンバーターも大きく、たっぷりインクを含ませることができ、長文を書く時に安心できる。ペン先は14金だがよく撓って柔らかい。
 ともかく、私のコレクションの中で数少ない国産製では屈指の万年筆である。

■ ペン先  : 14K / ■ サイズ : M
■ 機構   : コンバーター、カートリッジ両用式、 / キャップ ネジ式
■ 材質   : ボディ> AS樹脂
■ 長さ   : 142.7mm(収納時)/ 175mm(筆記時)
■ 太さ   : 13.1mmφ / キャップ 14.2mmφ
■ 重さ   : 23g
前の記事 2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12